自動車の所有者にとって、避けられないのが点検と車検です。
一般に自動車(自家用車)の点検には「24ヶ月点検」「12ヶ月点検」「車検」の区分が存在しますが、それぞれにどのような違いがあるのでしょうか?
点検の費用は期間によって異なりますし、適切な点検を怠ると法的な問題を招くこともあります。
この記事では、自動車の点検に関わる費用やチェック項目について詳しくご説明します。
24ヶ月点検は必要なのか?
自動車の定期点検には、法律で義務付けられている24ヶ月点検があります。この点検は通常、車検と同時に実施され、安全な運転には欠かせません。特に12ヶ月点検と24ヶ月点検は重要ですが、これらは実際に法律で義務付けられています。
12ヶ月点検と24ヶ月点検の義務について
24ヶ月点検は一般的に車検の際に行われますが、法定点検と車検を同時に行うことから混同されることがあります。自家用車では、12ヶ月点検と24ヶ月点検が法定で義務付けられており、これらは車の適切なメンテナンスを保つために重要です。
車検と点検の目的の違い
車検は車が安全基準に適合しているかを検査することで、公道で安全に運行できるかを確認します。一方、法定24ヶ月点検は、車の故障を未然に防ぐことを目的とし、定められた56項目をチェックし、部品の消耗や劣化を診断します。
これにより、事故や故障のリスクを減らし、車の性能を維持します。法的に定められたこれらの点検と車検は、安全な運転環境を維持するために必須のプロセスです。適切な実施が求められています。
自家用車の車検は必要?違反した場合の処罰は?
自家用車が私有地内で使用されている限り、車検が切れていても合法です。しかし、車検が切れた状態で公道を運転すると、法律に違反することになります。違反した場合、以下のような処罰が科される可能性があります。
- 初犯の場合、違反により免許が30日間停止されます。
- 最大で6ヶ月の懲役または30万円以下の罰金が課されます。
- 自賠責保険が未加入の場合、より重い罰則が適用される可能性があります。
- 免許の停止期間が90日間に延びる(初犯の場合)
- 1年6ヶ月以下の懲役または80万円以下の罰金が課されます。
車検を更新して公道を走行することは、法的な義務ですので注意が必要です。
オートバックスで24ヶ月点検を行った場合は?
車検を経済的に済ませるために、オートバックスのようなサービスを利用して車検の事前点検を受けることが一般的です。この点検で約2万円の費用がかかり、追加の修理が必要になった場合は更に費用が発生します。全体の費用を把握するためには、事前に見積もりを依頼すると良いでしょう。
イエローハットで24ヶ月点検を行った場合は?
イエローハットでは、自動車の定期点検に約16,000円(法定費用を除く)がかかります。このサービスは主に車検とセットで提供されており、点検のみのプランはあまり提供されていません。詳細は直接店舗に問い合わせることが推奨されます。
自分で進める車検の手順ガイド
専門の施設で車検を依頼すると高額な費用がかかることが多いですが、「ユーザー車検」を選べば、そのコストをかなり抑えることができます。では、自分で24ヶ月の車検点検を行うにはどうすればよいのでしょうか?
自分で実施するユーザー車検のプロセス
ユーザー車検とは、自分で車を運輸支局に持ち込み、車検を受ける手続きのことです。この手続きには、事前の書類準備や予約が必要ですが、主要なステップは以下の通りです。
- 予約の実施: 車の種類に応じて、オンラインまたは電話で検査を予約します。
- 予備検査場の利用: 予備検査場で車検と同じ検査を事前に行い、車の状態を最終確認します。費用は地域によって異なりますが、通常は1,500円から3,500円の範囲です。
- 必要書類の準備: 運輸支局で検査に必要な書類を受け取り、記入します。
- 手数料と税金の支払い: 運輸支局内で検査手数料と自動車重量税を支払います。
- 自賠責保険の更新: 運輸支局内の保険代理店で自賠責保険を更新し、新しい保険証を受け取ります。
- 車検の受付: 必要書類を持って車検受付窓口に行き、手続きを行います。
- 車検の受検: 自車で検査コースに入り、検査を受けます。不合格の場合、調整を行い再検査が可能です。
- 車検証の交付: 検査に合格すると、車検証と検査標章が交付されます。
24ヶ月点検は、車検の時期にかかわらず必要であり、法的に義務付けられていますので、適切なタイミングで専門施設での実施が推奨されます。
自動車知識の重要性について
ユーザー車検を行うには、自動車に関するある程度の知識が必要です。車検を一発で合格させるためには、事前に車の整備状態をきちんと整えておくことが求められます。問題が見つかった場合は、修理をして再検査を受ける必要があります。
ユーザー車検では、以下の点をチェックします:
- 外装検査:ヘッドライト、ブレーキライト、ウィンカー、ワイパー、クラクションの動作確認
- 足元検査:タイヤとホイールの状態が規定値内かどうか
- 排ガス検査:一酸化炭素と炭化水素の排出量が基準内かどうか
- サイドスリップ検査:車がまっすぐ走るかどうか
- スピードメーター検査:表示速度と実際の速度の誤差の有無
- ヘッドライト検査:光量と光軸が基準値内かどうか
- ブレーキ検査:ブレーキの効きとサイドブレーキの機能性
- 下部検査:タイヤの内側と中央部のドライブシャフトブーツの損傷、オイル漏れ、ボルトの緩みのチェック
これらの検査項目は、適切な知識があれば自分で行うことができますが、知識がないと理解しにくく、不備をそのままにすると車検の合格が難しくなります。したがって、自動車の基本的な知識がなければユーザー車検を受けるのは困難です。
車検コストの節約について
ディーラーや整備工場での車検では、代行手数料や基本点検料として数万円がかかるのが一般的です。しかし、自分でユーザー車検を行う場合、これらの費用は不要です。
ユーザー車検に必要な費用は以下のとおりです:
- 陸運局の検査手数料
- 自賠責保険料
- 自動車重量税
これらの費用は法定費用のみで、最低でも約3万円から車検を受けることが可能です。軽自動車と普通車では重量税の額に違いがありますが、一般的な車検コストと比較して大きな節約が見込めます。経済的に車検を済ませたい場合は、ユーザー車検の利用を検討することをお勧めします。
自動車の定期点検について
自動車の定期点検には12ヶ月点検と24ヶ月点検があり、点検項目の数には違いが存在します。
12ヶ月点検では26項目がチェックされる一方で、24ヶ月点検ではそれを上回る56項目が詳しく調査されます。それでは、それぞれの点検でどのような項目がチェックされるのかを詳しく見ていきましょう。
12ヶ月点検の具体的な内容
12ヶ月ごとの点検では、主に以下のような部分が検査されます:走行システム、ステアリング周り、ブレーキシステム、動力伝達装置、エンジンエリア、排気システムなど。具体的なチェック項目は以下の通りです。
- ブレーキペダルの遊びと床板との距離
- パーキングブレーキの調整状態
- ブレーキの反応性
- マニュアルトランスミッション車のクラッチペダルの遊び
- エンジンオイルの漏れ
- ギアボックスおよびトランスファーケースのオイルレベル
- 各種ベルトのたるみや損傷
- ブレーキ液の漏れ
- 点火システムの状態
- バッテリーの接続状態
- 排気の状態
- エアフィルターの清潔さ
- 冷却液の漏れ
- ブレーキホースやパイプの状態
- 排気システムのたるみや損傷
- ブレーキパッドやディスクの摩耗
- タイヤの状態と空気圧
- ホイールのボルトやナットの締め具合
- ドライブシャフトの接続部の状態
これらの点検は、自動車が安全に動作するために欠かせないものであり、安全かつ快適な運転体験に寄与しています。
2年毎の定期点検の内容とその重要性
2年に一度行われる定期点検は、使用中の車が安全基準を満たしているかを確認するためのものです。この点検では、1年点検よりも多くの項目、具体的には以下の56項目を詳細に検査します。
- パワーステアリングのベルトとオイルの状態
- 点火システム、バッテリー接続部、電気配線の確認
- 排気システムとエンジンの状態
- ブレーキシステム、ハンドル、サスペンションの検査
- タイヤ、ホイール、ベアリングの状態
- ショックアブソーバー、エンジンオイル、ステアリングシステムの点検
- トランスミッションやドライブシステムの潤滑と固定部の状態
- 排気装置やマフラーの固定と機能
- 車体の全体的な状態と損傷のチェック
これらの点検は専門的な技術を要するため、通常はカーディーラーや専門の整備工場で行われます。整備工場によって点検に必要な時間や修理の対応能力が異なりますので、整備の品質や部品の供給速度を考慮して適切な業者を選ぶことが重要です。
特に、自車のブランドを専門とするディーラーに依頼すると、修理や部品交換がスムーズに行えるため、車検の合格を確実にしたい時や、車の安全な運用を望む時にはディーラーでの点検がおすすめです。
車検24ヶ月点検についてよくある質問とその回答
24ヶ月点検を受けないとどうなるの?
24ヶ月点検は法律で義務付けられていないため、受けなくても法的な罰則はありません。しかし、点検を怠るとメーカー保証が受けられなくなるなどのデメリットが生じることがあります。そのため、安全運転を維持する観点からも、定期的な点検は推奨されています。
24ヶ月点検にかかる費用は?
24ヶ月点検はディーラーや整備工場など、さまざまな場所で実施することができます。費用は施設によって異なるものの、一般的には約20,000円程度が相場です。
毎年の点検義務について
自家用車(普通車・軽自動車)は、道路運送車両法第48条に従い、毎年1回の点検を受ける義務があります。この点検によって、車の故障を未然に防ぎ、消耗品を適切に交換することができます。これにより、車を安心して使用することが可能になります。
新車購入後の初回点検は必要?
新車を購入した後も、安全に運転を続けるためには12ヶ月点検を受けることが必要です。新車登録後、最初の車検までの3年間に2回の点検を受けるチャンスがありますので、これを逃すことなく点検を受けることが推奨されます。
まとめ
24ヶ月点検は法律で定められた定期点検の一部であり、罰則はありませんが、車検が切れた場合には罰則が適用されることがあります。そのため、車を所有している限りは定期的な点検が必要です。法定点検は、車を長く安全に運用するため、また安心して公道を走行するために欠かせない手段です。罰則がないからといって点検を怠ることなく、車の所有者としての責任を果たしましょう。